「TikTokやInstagramリールがビジネスに効くのは分かっている。でも、毎日投稿するなんて絶対に無理…」 「最初の数本でネタが尽きてしまい、更新が止まってしまった…」
ショート動画マーケティングに取り組む多くの中小企業が、この「企画の枯渇」と「制作の負担」という大きな壁に直面しています。しかし、その悩みは、生成AIを「企画パートナー」にすることで劇的に改善できます。
これまで担当者のセンスやひらめきに頼りがちだった動画の企画・台本作りを、AIとの協業によって仕組み化・効率化する。これが、これからのショート動画マーケティングの新しい常識です。本記事では、AIを活用して”バズる”ショート動画の企画と台本を効率的に量産するための具体的な3ステップを、プロンプト例と共に解説します。
なぜショート動画の企画にAIが有効なのか?
ショート動画で再生数を伸ばすには、最初の1〜2秒で視聴者の心を掴み、最後まで見てもらうための「構成力」が不可欠です。そして、その構成にはある程度の「型(パターン)」が存在します。AIは、世の中にある無数の成功事例を学習しているため、この「勝てる型」を瞬時に提案するのが非常に得意です。AIは、以下のような役割を担ってくれます。
- アイデアマン:自社の商品やサービスを、多様な切り口の動画企画に変換してくれる。
- 構成作家:視聴者を惹きつける動画の構成(冒頭の引き、本題、まとめ)を組み立ててくれる。
- シナリオライター:具体的なナレーション原稿や、演者のセリフを書き出してくれる。
担当者は、AIが出力した複数の企画案の中から最も良いものを選び、自社の言葉で磨き上げる「編集者」に徹することができます。これにより、企画の質と量の両方を飛躍的に高めることが可能になるのです。
AIでバズる企画・台本を量産する3ステップ

それでは、ChatGPTなどの生成AIを使った具体的な手順を見ていきましょう。
ステップ1:AIに「役割」と「商材」を与え、企画の壁打ち相手にする
最初に行うのは、AIに前提条件をインプットし、優秀なプランナーに”変身”させることです。そして、自社の商品やサービスをどのような切り口で見せられるか、アイデアの「壁打ち」をしてもらいます。
【AIへの指示文(プロンプト)例】 「あなたは、TikTokで数々の企業アカウントを成功させてきたプロのSNSマーケターです。これから、私たちが販売する『10秒で設営できるワンタッチテント』をテーマに、TikTokでバズる動画の企画を考えたいです。以下の動画フォーマットの型に沿って、企画案を10個提案してください。 #動画フォーマットの型 ・お悩み解決型(〇〇な人、これ使ってみて) ・比較検証型(AとB、どっちがいい?) ・あるある共感型(キャンプ好きならわかるはず…) ・衝撃映像型(え、こんなことできるの!?) ・逆張り主張型(実は〇〇、必要ありません)」
このように、AIに役割を与え、具体的な「型」を指定することで、AIは「『テント設営に30分かかってる人へ』というお悩み解決型」「『従来のテントvsワンタッチテント』の比較検証型」といった、質の高い企画案を複数アウトプットしてくれます。この中から、自社で実現可能性が高いもの、ターゲットに最も響きそうなものを選びます。
ステップ2:選んだ企画を「動画構成案」に落とし込ませる
魅力的な企画が決まったら、それを60秒程度の動画にどう落とし込むか、具体的な構成案を作成させます。ショート動画の構成は「①冒頭(引き)→ ②本題 → ③まとめ・CTA」が基本です。
【AIへの指示文(プロンプト)例】 「先ほど提案された企画の中から、『「従来のテントvsワンタッチテント」の比較検証型』で動画を作成します。視聴者が最後まで見たくなるような、60秒の動画構成案を以下の形式で作成してください。 #形式 ・冒頭(0〜5秒):視聴者の興味を引く一言 ・本題(5〜50秒):比較検証の具体的な内容 ・まとめ(50〜60秒):結論と、視聴者に取ってほしい行動(CTA)」
AIは、「【冒頭】『テント設営、まだ消耗してる?』というテロップと、汗だくでテントを立てる人の映像」「【本題】画面を二分割し、従来テントとワンタッチテントの設営時間を同時進行で見せる」「【まとめ】『時間を無駄にしたくない人は、プロフリンクをチェック』というテロップで締める」といった、映像が目に浮かぶような具体的な構成案を提示してくれます。
ステップ3:構成案を基に「撮影台本」を完成させる
最後に、構成案を基に、撮影でそのまま使えるレベルの「台本」を作成させます。ナレーションの原稿、必要な映像カット、画面に表示するテロップの文言まで、詳細に指示するのがポイントです。
【AIへの指示文(プロンプト)例】 「作成してくれた構成案を基に、撮影用の台本を作成してください。シーンごとの『映像』『ナレーション』『テロップ』を、以下の表形式で出力してください。 | シーン番号 | 時間(秒) | 映像 | ナレーション/セリフ | テロップ | |—|—|—|—|—| | 1 | 0-5 | (ここに指示) | (ここに指示) | (ここに指示) | | 2 | 5-25 | (ここに指示) | (ここに指示) | (ここに指示) | …」
この台本があれば、撮影当日に「何を撮るんだっけ?」「何て喋るんだっけ?」と迷うことはありません。AIが作成した台本を基に、人間はよりクリエイティブな「どう撮るか」「どう見せるか」という演出の部分に集中できます。また、生成AIにナレーション原稿を読み上げさせ、音声データとして活用することも可能です。
まとめ:AIは最強の「企画ブレスト相手」である

ショート動画制作において、AIは魔法の杖ではありません。最終的な動画のクオリティは、撮影や編集といった人間のクリエイティビティに大きく依存します。しかし、AIは、その前段階である最も時間のかかる「企画」と「構成」のプロセスを劇的に効率化し、担当者の心理的負担を大幅に軽減してくれます。
一人でうんうん唸ってアイデアを考える時代は終わりました。AIという24時間働いてくれる超優秀な壁打ち相手と共に、質の高い企画を量産し、戦略的にアカウントを運用していく。ぜひ、この新しいSNSマーケティングの形に挑戦してみてください。